小説の主人公は生きた人間とは限りません。
ちょっと変わった語り手だからこその視点が楽しい小説を集めてみました。
なんだかどこかから見られているような気持ちになってきます。
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過去を売る男
著者:ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ
訳:木下眞穂
出版社名:白水社
発売年月:2023年5月
税込価格:2,750円
ISBN:9784560090824
ヤモリ(前世はボルヘス)
古書店に住み着いたヤモリが語り手です。
そしてその店主が営んでいるのは「過去を新しく作り直す」という奇妙な仕事。偽りの写真や書類を用いて新しい家系図と「過去」を作成するのだそう。
ある日、店に「名前も、過去も、すべて書き換えてほしい」という男が現れて……。
壁や天井を音もなく動き回るヤモリの視線で描かれる物語はミステリアスで不思議な緊張感を孕んでいます。
リクガメの憂鬱
博物学者と暮らしたカメの生活と意見
著者:バーリン・クリンケンボルグ
訳:仁木めぐみ
出版社名:草思社
発売年月:2008年8月
税込価格:2,090円
ISBN:9784794216618
リクガメのティモシー
「人間とは、何とせわしなくて、身勝手な生き物なんだろう」と語るのは地中海からはるばるイギリスにやってきたリクガメのティモシー。
古典的名著『セルボーンの博物誌』に登場する世界一有名なカメです。
持ち上げられたときにおなかの下で感じる風の涼しさなど、人間と暮らすカメならではの感覚が見事に描写されています。
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夏と花火と私の死体
集英社文庫
著者:乙一
出版社名:集英社
発売年月:2000年5月
税込価格:594円
ISBN:9784087471984
少女の死体
九歳の夏休み、私は殺されてしまったのです……。
死体を隠そうとする兄と妹と、周りの大人たちの追求。
緊迫した4日間の様子がまさかの殺された死体目線で描かれるホラー小説です。
何度も見つかりそうになりながら、最終的に少女の死体がたどり着いた先が衝撃的。
恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、早熟な才能・乙一のデビュー作。
憂鬱な10か月
著者:イアン・マキューアン 訳:村松潔
出版社名:新潮社
発売年月:2018年5月
税込価格:1,980円
ISBN:9784105901479
とんでもない赤ちゃん
「赤ちゃんがお腹の中から外の音を聞いている」と書くとほっこりしますが、実はこの赤ちゃん信じられないくらい早熟。
ポッドキャストで世界情勢を知り、詩や文学を愛し、胎盤を通してワインを嗜む!
やがてどうやら自分が誕生するのは訳ありな家庭であると気づき始め、家族(と自分)を救うために奮闘しますが……。
とんでもない状況下での赤ちゃんの冷静な語りが笑いを誘います。